「お祝いでもらった胡蝶蘭、豪華でとっても綺麗だったのに、あっという間に花が終わってしまった…」
「次のお花を咲かせたいけど、どうしたらいいか分からず、そのままになっている」
そんな少し寂しい気持ちを抱えた経験は、ありませんか?
その気持ち、本当によく分かります。
こんにちは。フラワーコーディネーターのMikaです。
園芸店で店長をしていた頃から、そして独立してワークショップを開催している今も、胡蝶蘭に関するこうしたお悩みを本当に多く伺ってきました。
高価で繊細なイメージのある胡蝶蘭ですが、実はいくつかの「コツ」さえ掴めば、誰でも驚くほど長く、そして毎年美しい花を楽しむことができる、とても健気で強いお花なんです。
私自身もたくさんの失敗を繰り返してきましたが、今では自宅で30鉢以上の胡蝶蘭たちが元気に育っています。
この記事では、私がたくさんの経験から導き出した「初心者でも絶対に失敗しない、胡蝶蘭を長く咲かせる3つのコツ」を、分かりやすく丁寧にお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたは胡蝶蘭ともっともっと仲良くなれるはず。
さあ、一緒に胡蝶蘭との素敵な暮らしを始めましょう。
コツ1:水やりは「乾いたら、たっぷり」が鉄則
胡蝶蘭を枯らしてしまう原因、その第1位が「水のやりすぎ」です。
「お花が枯れないように」と毎日お水をあげてしまう、その優しさが、実は胡蝶蘭を苦しめているのかもしれません。
胡蝶蘭の水やりで最も大切なキーワードは「メリハリ」。
カラカラに乾かしてから、鉢の底から水が流れ出るまでたっぷりと与える。
これさえ守れば、大きな失敗はまずありません。
なぜ水のやりすぎはダメなの?根腐れのメカニズム
胡蝶蘭の根は、ぷっくりと太いのが特徴です。
もともと熱帯雨林の木に着生して育つ植物なので、根は空気中にさらされ、呼吸をしています。
ところが、鉢の中が常にジメジメと湿っていると、根は息ができなくなり、酸素不足に陥ってしまいます。
すると、そこから細菌が繁殖し、根がブヨブヨに腐ってしまうのです。
これが「根腐れ」の正体です。
根が腐ると、お水や養分を吸い上げることができなくなり、葉っぱにシワが寄ったり、元気がなくなったりして、最後には枯れてしまいます。
「乾いた」を見極める3つのサイン
「じゃあ、『乾いた』ってどうやって判断すればいいの?」
ワークショップで最も多くいただく質問です。
難しく考えなくて大丈夫、見極めるサインは3つあります。
- 1. 植え込み材(水苔)の色を見る
表面の水苔がカラッと乾いて、白っぽい色になっていたらOKのサインです。 - 2. 鉢の重さを確認する
水やりをした直後の鉢の重さを覚えておきましょう。
次に持ち上げた時に「あ、軽いな」と感じたら、それは水分が抜けた証拠です。 - 3. 鉢の中に指を入れてみる
これが一番確実な方法です。
鉢のフチからそっと指を入れてみて、中の湿り気を感じなければ、絶好の水やりタイミングです。 
季節別・水やりの頻度目安と与え方のコツ
胡蝶蘭も私たちと同じように、季節によって喉の渇き方が変わります。
あくまで目安ですが、以下の表を参考に、先ほどの「乾いたサイン」と合わせてタイミングを判断してみてください。
| 季節 | 頻度の目安 | 与え方のコツ | 
|---|---|---|
| 春・秋 (過ごしやすい時期) | 1週間~10日に1回 | 気温が安定している午前中に。 | 
| 夏 (成長期) | 2〜3日に1回 | エアコンの風に注意し、乾き具合をこまめにチェック。 | 
| 冬 (お休み期間) | 2週間〜1ヶ月に1回 | 暖房の効いた暖かい日の午前中に、ぬるま湯(人肌程度)を。 | 
お水をあげる際は、株の根元に、鉢底から水がたっぷり流れ出るまで与えてください。
そして、受け皿に溜まった水は必ず捨てましょう。
ここに水が溜まっていると、常に根が湿った状態になり、根腐れの原因になってしまいます。
コツ2:置き場所は「心地よいリビング」をイメージ
胡蝶蘭にとって快適な環境は、実は「人間が快適に過ごせるリビング」とほとんど同じなんです。
特別な部屋を用意する必要はありません。
あなたの家のリビングが、胡蝶蘭にとっての一等地になるかもしれません。
胡蝶蘭が好む「レースカーテン越しの光」とは?
胡蝶蘭の故郷は、木漏れ日が差すような熱帯雨林です。
そのため、日本の夏のような強い直射日光は大の苦手。
強い日差しに当たると、葉が黒く焦げたようになってしまう「葉焼け」を起こしてしまいます。
理想的なのは、ずばり「レースのカーテン越し」の柔らかい光です。
「本を読むのにちょうど良いくらいの明るさ」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
直射日光の当たらない、明るい窓辺に置いてあげましょう。
「風通し」が病気を防ぐ!空気の流れを意識しよう
水やりのパートでも少し触れましたが、ジメジメした環境は病気の元です。
これは鉢の中だけでなく、株全体の環境にも言えること。
空気がよどんでいると、鉢の中が蒸れて根腐れしやすくなったり、葉にカビが生えたりする原因になります。
そよ風が通り抜けるような、少しだけ空気の流れがある場所を好みます。
ただし、エアコンや扇風機の風が直接当たるのはNGです。
人間でもずっと風に当たっていると乾燥してしまいますよね。
それと同じで、胡蝶蘭も急激な乾燥で弱ってしまいます。
何度くらいが快適?胡蝶蘭に最適な温度管理
胡蝶蘭が元気に育つ温度は、18℃~25℃くらいです。
まさに、私たちが春や秋に「気持ちいいな」と感じる気温ですね。
夏に30℃を超えるような日が続く場合は、少しでも涼しい場所に移動させてあげましょう。
逆に冬は、15℃以下にならないように注意が必要です。
特に窓際は夜になると急激に冷え込むので、夜だけ部屋の中央に移動させてあげるなどの工夫をすると、元気に冬を越せますよ。
コツ3:花が終わった後が「本当のスタート」
豪華な花がすべて咲き終わった時、「これで終わりかな…」なんて思わないでください。
実は、ここからが胡蝶蘭との暮らしの本当のスタートであり、一番の醍醐味なんです。
適切なお手入れをしてあげることで、胡蝶蘭は毎年美しい花を咲かせて、あなたの気持ちに応えてくれます。
もう一度花を咲かせる?来年に備える?花茎のカット術
花が終わった後の「花茎(かき)」をどうするかで、次の楽しみ方が変わります。
カットに使うハサミは、ライターの火で少し炙るなどして消毒してから使うと、切り口からの病気の侵入を防げますよ。
①もう一度お花を楽しみたい!(二番花)
株が元気で、葉もツヤツヤしているなら、もう一度お花を咲かせる「二番花」に挑戦できます。
花が2~3輪残っているタイミングで、花茎の根元から節を数えて、4~5節目の少し(約2cm)上でカットします。
うまくいけば、数ヶ月後にカットした節から新しい花芽が伸びてきて、再び花を見せてくれます。②来年のために、株を休ませたい
「二番花は少し難しそう」「まずは株を元気に育てたい」という方は、来年のために株をゆっくり休ませてあげましょう。
全ての花が終わったら、花茎を根元のできるだけ近い位置でカットします。
これで株は花を咲かせるエネルギーを温存でき、来年の春に向けてじっくりと体力を蓄えることができます。
どちらの方法を選ぶか、胡蝶蘭の様子をよく見て決めてあげてくださいね。
2年に一度の引っ越し「植え替え」で株をリフレッシュ
私たちは2年に一度、胡蝶蘭にお引越しをさせてあげる必要があります。
それが「植え替え」です。
ずっと同じ植え込み材(水苔やバーク)を使っていると、それ自体が古くなって水を弾いたり、逆に常に湿った状態になったりして、根腐れの原因になります。
新鮮な植え込み材にお引越しさせてあげることで、根がのびのびと呼吸できるようになり、株全体がリフレッシュされるのです。
植え替えのサインと具体的な手順
植え替えに最適なシーズンは、春。4月~6月の、暖かくなってきた頃がおすすめです。
株への負担が一番少ない時期だからです。
- こんなサインが出たら植え替え時
- 購入してから2年以上経っている
 - 鉢底から根がたくさん飛び出している
 - 植え込み材の表面が固くなっていたり、緑色の苔が生えたりしている
 
 - 植え替えの簡単な手順
- 胡蝶蘭を鉢からゆっくりと引き抜きます。
 - 根を傷つけないように、古い水苔を丁寧に取り除きます。
 - 黒く変色したり、スカスカになったりしている古い根を、清潔なハサミでカットします。
 - 新しい鉢に、元気な根を傷つけないよう注意しながら、新しい水苔でふんわりと包むように植え込みます。
 - 植え替え直後はデリケートなので、約2週間は水やりを我慢し、明るい日陰でゆっくり休ませてあげましょう。
 
 
まとめ:3つのコツで、胡蝶蘭ともっと長く一緒に
いかがでしたでしょうか?
胡蝶蘭を長く美しく楽しむための、3つの基本的なコツをもう一度振り返ってみましょう。
- 1. 水やりは「乾いたら、たっぷり」とメリハリを!
 - 2. 置き場所は「人が快適なリビング」をイメージ!
 - 3. 花が終わった後は「次へのスタート」!適切にカット&植え替えを!
 
なんだか、自分でもできそうな気がしてきませんか?
胡蝶蘭は、決して難しい植物ではありません。
ほんの少しだけ気にかけてあげるだけで、毎年美しい花を咲かせてくれる、とても素敵なパートナーです。
今回ご紹介したコツを参考に、ぜひあなたの胡蝶蘭との暮らしをもっともっと楽しんでください。
その一鉢が、あなたの毎日に彩りと癒やしを与えてくれることを、心から願っています。